
先輩社員が「守ってばっかりではダメ!攻めないと!攻めのIT!」と言っていたので、改めて熟思しました。
「攻めのIT」と「守りのIT」の定義
まずは、一般的な3つの「攻めのIT」と「守りのIT」を紹介します。
定義 その① 「SoR」と「SoE」
SoR(System of Record)とSoE(System of Engagement)で分類します。
SoR=「守りのIT」 SoE=「攻めのIT」とする定義です。基準をシステムにおくパターンです。非常に参考になる資料を見つけましたので、共有しておきます。


Geoffrey Mooreが出典したホワイト・ペーパー『Systems of Engagement and the Future of Enterprise IT』により広まった概念。らしい。
定義 その② 「コスト削減」と「収益増加」
2つめの定義は、「コスト削減」=「守りのIT」 「収益増加」=「攻めのIT」とする定義です。1つめの定義と似たような感じですが、基準をお金に定めるパターンです

お金を基準にするのは、非常に一般的でわかりやすいです。おそらく多くの人が抱いている「攻めのIT」と「守りのIT」はこれでしょう。
定義 その③ 経済産業省の考える「攻めのIT」
3つ目の定義は、経済産業省からの引用です。
「攻めのIT経営」とは、ITの活用による企業の製品・サービス強化やビジネスモデル変革を通じて新たな価値の創出やそれを通じた競争力の強化に戦略的に取り組む経営のこと
経済産業省 攻めのIT経営銘柄
[PDF]https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/meti_meigara2019.pdf

攻めのIT銘柄についてはこちらの記事も参考してください
実績から「攻めとIT」「守りのIT」の定義を考える
「攻めのIT経営銘柄」に2年連続選定されているエフピコ物流株式会社。
ロジスティクス ワンダーランド。トラスコ中山株式会社。
この2社を「攻めのIT」とした場合、上記に記載した定①と定義②が当てはまらないことが言えます。つまり、定義①と定義②は間違っているということなります。
「攻めとIT」「守りのIT」の視点を変えて考える
サービス利用者
正直な話、「攻めのIT」だろうが「守りのIT」だろうが、どちらでもよいです。サービス利用者としては、より高品質でより低価格のサービスを受けたいです。つまり、企業が「攻めのIT」に投資しようが、「守りのIT」に投資しようが、関係ないのが現状でしょう。ただし、株主は話が別なので注意です。
企業
理想を言えば、経営理念を更に実現するものが「攻めのIT」であってほしいです。ですが、実際は経営層がどう考えているかによります。
情報システム部(基幹システム社内SE)
情報システムというより、基幹システムの運用保守してる立場からの視点になります。がっつりSoR側のエンジニアからすると、今後のキャリアパスをどうするかに、大きく影響します。
今後、SoEの分野は無視できない存在になるでしょう。企業もSoEに詳しい人材が欲しいはずです。一方、SoRの人材も一定数、必要です。
社内SEのキャリアパスをどう描くかは、難しいですが、さらに難しくなることでしょう。
SIer
営業とエンジニアでそれぞれ、意見が異なるでしょう。
営業の立場からすると「攻めのIT」というワードは非常に便利な言葉です。おそらく定義②の意味で使っています。投資対効果もわかりやすいです。金額ベースでの話がメインなら、特にそうでしょう。
エンジニアからすると、情報システム部の話を重複するところもありますが、キャリアパスに大きく関わってきます。今、勤めてる企業がSoEの分野に手を出すことがあるなら、SoEの企業を学ぶこともあるでしょう。しかし、SoRだけやっていくと、経営層が決定したら、その時点でキャリアパスが絞られます。また、その逆もしかりです。

立場によって、何が「攻めのIT」か「守りのIT」か変わります。どうしても定義せざるおえないなら、各立場の人を集めて、企業として「攻めのIT」「守りのIT」を分けるのがベターでしょう。
基幹系システムは「攻めのIT」なのか「守りのIT」なのか
基幹系システムのは「守りのIT」で間違いないでしょう。ただ、私個人としては、あまり「攻めのIT」と「守りのIT」と明確に分ける必要はない、もっというと、「攻めのIT」と「守りのIT」を分ける意味はまったくないです。
もちろん、技術的な違いや考え方の違いは、定義①ようなに存在します。そこはしっかりと認識しておくべきです。
しかし、それはただのツールとして理解きておくべきで、そのツールで何を達成できるかが大事です。なので、「攻めのIT」「守りのIT」と分ける必要はなく、その時その時で、最適な方を選ぶのでよいです
〇「攻めのIT」と「守りのIT」のGoogleトレンド
「攻めのIT」
人気の動向が2015年から循環性のあるデータになってますが、経済産業省の「攻めのIT経営銘柄」を発表している時期と重なっています。おそらく、それが原因でしょう。
「守りのIT」
エラーじゃないです。データがないため、上記のような表示になります。「守りのIT」って人気動向がまったくないんですね。。。

結果的に、経済産業省の攻めのIT銘柄の定義がひじょうにしっくりくる
「攻めのIT経営」とは、ITの活用による企業の製品・サービス強化やビジネスモデル変革を通じて新たな価値の創出やそれを通じた競争力の強化に戦略的に取り組む経営のこと